カイロからの帰国

伊藤愼吾さんの『南方熊楠と日本文学』(勉誠出版)という大著が送られてきました。伊藤さんがこのところ南方熊楠顕彰館に通って、膨大な熊楠の自筆原稿や書簡に取り組んでいたことは聞いていましたが、早くもこれだけ重量感のある本にまとまったとは、熊楠の精力が乗り移ったかと思うほどです。

送り状に、いまカイロにいますとあったので、早速Gメールで、御礼と、コロナのために移動禁止になる可能性がありますよ、と送信したところ、たった今帰国しました、という返信が来ました。

[エジプトは私が入国した3月1日の時点で感染者2名でしたが、今や196名の症例を公表するに至っています。16日午後、エジプト政府が19日から31日までの空港閉鎖を発表し、国際交流基金が私を急遽帰国させることに決めました。17日朝にはエティハド航空からオンラインチェックインの案内が届いたので手続きを済ませ、それから日が暮れるまでカイロ大学への提出書類やアパートの後始末、前払いした家賃の清算やこれまでの活動報告(仮)の作成などに追われました。そして18日朝に空港に向かい、アブダビ経由で戻ってきた次第です。危うく4月以降の帰国となるところでした。

14日(土)午後に大統領の指示で大学が休校となり、その間、オンライン授業などが検討され、学内はたいへんなことになりました。私もカイロ、アレキサンドリアルーマニアの日本語の先生方とウェブ上でミーティングをしながら、オンラインの操作方法を確認しました。

今回の仕事は初めて尽くしでした。大学院の授業やオンライン授業の準備(来週から実施)から、アパートの大量の雨漏り、砂嵐、タクシードライバーとの運賃交渉などなど。これからの私にとっていい経験になると思います。(伊藤愼吾)]

伊藤さんは国際交流基金の事業としてカイロ大学に派遣され、文学部日本語日本文学科の客員教授として招聘されたのだそうです。またとない経験でしたね。