読後感5の2

『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点― 5』(風間書房)の読後感が届いています。ここでは年長者の感想を2通、紹介します。1通目は文学がご専門、2通目は理工系がご専門の方からです。

[どの1編を取り上げても、清新な内容を主張していて好感が持てます。降って湧いた新感染症流行のため、研究報告会を秋まで延期せざるを得なくなった由にて、できるだけ良好な環境の中での存分の発表を期待して、時期を待ちたいと思います。]

[門外漢の小生でもわかるものをと思い、興味を誘われた山田藍さんの「読み聞かせ場面における幼児の視線探求パターンに関する発達科学的研究」を読みました。幼児期の子どもの視線を計測することで、読み聞かせ手と読み物、聞き手である子どもの心情の、3者の相互関係を探るという、ユニークな研究で、特に読み手の問いかけが、幼児の心情の発達に深く関わっているのでは?と思いました。最近、街中でベビーカーに乗せた子どもにスマホ(玩具?)を持たせ、母親はスマホを見ながら無言で歩いている親子連れを見かけますが、せっかくの対話の機会なのに、なぜ語り掛けをしないのか不思議です。幼児期からの体験が、数十年先に影響するかもしれないのに。
藤本啓寛さんの論文「”何者か”にならなくともよい「居場所」参加のパラドックス」も、ユニークだと思いました。]

大学院を出てからも10年近くは生計が立たず、自分が果たして何者かになれるかも分からずに歩き続けねばならないのが、この世界です。明翔会の皆さん、あなたを見ている人たちがいますよ。