桃の桃色

近年、花屋で売る桃の花の色が変わったのではないか、と知人と言い合いました。本来の桃の花はもっと薄い、少女らしい桃色だったのに、近年は、濃化粧の女盛りと言わんばかりの色しか見当たらない。時代の流行なのでしょうか。蕾が開かずに枯れる事が多く、今日まで保ちませんでした。仕方なくピンクのスイトピーを買って、ついでに三原堂へ入ったら、今日はいつになく混んでいて、待たされそう。諦めて真砂町の小さな和菓子屋で、桃の花の形をした練り切りと草餅を買いました。

詩経』に「桃夭」という詩がありますが、高校時代は好きになれませんでした。嫁にはいいぞ、と女をセールスしているような口ぶりが嫌だったのです。しかも薄い桃色ではなく、濃厚な紅色に咲き誇る樹下を想像させられた(高校の授業でそう教えられたのかどうかはさだかでないのですが、大友家持の「紅にほふ桃の花下照る道に出で立つをとめ」の歌と重なるイメージでもありました)のがいけませんでした。しかしこの頃になって、若い女性の生命力を讃えて民謡集の初巻に置く、という古代人の気持ちに賛同できるような気がしてきました。

中国の春は一面、桃李の花盛りだと聞いたことがありますが、その桃花はどんな色なのでしょう。中国へ始終往来している後輩に訊いてみようかしら。尤も彼は、梅と桃の区別もつかない人で、いつぞや本郷通りの薬局の前に置かれた盆栽を指して、これは桃、これが梅、あっちは桜、と教えたっけ。多分訊いても駄目でしょうね。

気づくとグーグルのHPも、今日は「可愛い雛祭」でした。