残照

ようやく菊が咲き出しました。小豆色、黄に赤が差したもの、白に薄くベージュが差したもの、古典的な小菊です。小豆色のものはちゃんと挨拶して貰って来た枝を挿し木したのですが、そのほかは、黙ってあちこちから失敬した小枝を挿して育てました。今年は台風の塩害で葉が変色し、駄目かと思ったので、とにかく咲いてくれたのが嬉しい。

台風に痛めつけられた薔薇も1輪だけ、蕾をもたげています。リルケの薔薇(我が家では12月に咲く薔薇を、詩人の命日に捧げてこう呼んでいます)は、とりあえず大丈夫。

このところ心理学、教育学、方言学、言語学などの論文の校正刷を読むのに逐われていて、植え替えるはずのアリッサムの苗も、買ってきたままになっています。冬至が近い太陽の光は、草丈の低いムスカリには届かなくなったので、とりあえず木箱の上に載せました。すると寄せ植えの鉢の底で何やらもじゃもじゃする。引っ張り出して見て吃驚。黄ニラのような葉が2本、鉢の底の孔から伸びていたのです。どうやら植える時に、さかさまに植えた球があったらしい。ごめん、と謝りましたがどうしようもなく、今年はこのまま球根を太らせるしかないと諦めました。

この時季は日暮れが早い。日が落ちる時、一瞬の残照が家の中を照らします。爪で引っ掻いたような三日月が空にあり、買い物に出ると、3日ばかりの間に児童公園のヤマボウシがきれいに紅葉していました。

校正刷はやっと8割方読み終え、これからあとがきを2本書けば、どうにか峠は越えられそうです。栃木から麦菓子の詰め合わせが届き、偶然ながら陣中見舞だと思うことにしました。あちこちからの励ましのおかげで、水準を下げずに行けること、感謝しております。