室礼

いよいよ大晦日。掃除の途中で、室礼を整えました。床の間代わりの本棚の上(未だ室内には、研究室から持ち帰った段ボールが積んだままなのですが)には、名古屋で買った、紺木綿に笛を咥えた鬼を染め出した幢を敷きました(名古屋では、節句にこういう幢を飾るらしい)。鏡餅唐津の瓶に活けた花と、盆に盛った林檎を飾り、さらに一願成就ことのまま八幡宮の絵馬を置きました。

玄関には注連縄のほか、松と紅白の花を活け、大須観音七福神の絵馬を掛けました。お向かいは奥さんが茶道か華道をやっているらしく、折り目正しいオーナメントが飾られます。今年は千両と松を活け、折鶴と金銀の水引が掛けられました。

夕方、郵便局へ行ったついでに蕎麦を食べることにしました。学生時代から入った店は餃子屋になり、落第横町の蕎麦屋は閉まっていました。講釈好きの店主がやっている店が今年は開けていたので、天麩羅蕎麦を頼み、聞くともなく聞いていると、料亭経営の主とゴルフ談義をしていました。肉屋、蕎麦屋、コンビニ、出る時には「よいお年を」と言って出たのですが、郵便局は後ろに行列ができていたので言いそびれました。

掃除がすべて終わったら、NHKの第九が始まっていました。今年は女性の指揮者です。世は変わりつつある、とつよく思いました。卓上には更紗染の鳳凰が描かれたランチョンマットを敷き、白い蔓薔薇と赤い薔薇をどっさり活けました。お屠蘇を作り、雑煮用の昆布だしと干し椎茸を仕掛けたら、紅白が蛍の光になりました。どうにか年越しは間に合ったようです。来年から変えたこと―日記をつけるのをやめることにしました。死後の整理で一番困るのは、故人が書き残したものの始末だからです。もうブログに書ける範囲のことだけ、言い残せばいい―よいお年を。