抱き合わせ

大学共通入試の国語・数学記述方式採用が延期になりました。英語の民間試験導入といい、国語・数学記述式の採用といい、こんな無茶な改革案を作り、実施を決めたのはどいつだ、出て来い、と言いたくなります。記述式の問題点も英語の4技能重視についても、すでにこのブログで書いたので繰り返しません。早い段階で教育現場の声を聞いておけば、こんなことになっていなかったと思います。

そもそも大学入試本来の目的に、50万人一斉の英語4技能測定は必要だったでしょうか。記述式も大学ごとの2次試験でなら、十分実施できます(今までもやってきた)。すでにブログに書きましたが、大学入試は大学で学ぶのに必要な学力を検査するものであって、一国の教育全体の方向を牽引するものではありません。そして入試は公平でなくては意味をなしません。本来の目的を潰してしまうほど弊害の大きい改革案を、どうして実施するのでしょうか。政府はメンツなどにこだわって、細部を改善した上で必ずやる、などと言い張らないで欲しいと思います。

最近の政府のやり方には、妙にせこい(姑息な)抱き合わせが目につきます。マイナンバーカードを普及させるために消費税のポイント還元をするのも同様でしょう。大きな仕事をする時は、戦線を限定し、目的に応じた実施目標を絞って、集中することが鉄則です。抱き合わせ販売は、公取委も厳しく取り締まるところです。

大学入試制度によって、将来の国民の学力到達水準を左右しようという考えは、根本的に間違っています。大学に入ることも、そのための全国一斉試験も、万能のものではない。限られた検査で測れることを手がかりに、大学側が4年間の教育システムを設計する、というだけのことです。