体温計

大学院同期で、耳が遠くなったので学会へは出ない、と随分前から公言している人がいて、言い訳だろう、と思っていましたが、先日、インフルエンザの予防注射に行った時、看護師から体温計が鳴ったことを指摘されて自分には聞こえなかったのだと知り、衝撃を受けました。聞こえにくい音域があるのだ、と考えることにしましたが、じっさい最近は、TV放映の映画の台詞が聞き取りにくい。この10年で、TVの音量も少しずつ上げるようになりました。

体温計がアナログからデジタルに変わったのは、もう大分前のことですが、なぜかその頃から、標準体温が低くなりました。子供の頃、平熱は36度2分から5分くらいだったのに、35度台になったのです。腋の下に皺が寄って、肌に密着しなくなったからではないかと思ったりしました。

かつてのアナログ体温計は、使用後、強く振って元へ戻す必要があり、よく何かにぶつけて割ってしまい、水銀がこぼれて丸まったりしたものでした。デジタルになってボタン一つで元へ戻せるようになり、便利になりました。でも人間の体温が自然に低くなるはずはないので、新しい計器は何となく信用できない気もしています。

若い頃は熱に強く、38度以上あっても授業をしました。さすがに40度近くなると立てないので休みましたが、いま思えば無謀なことをしたものです。その当時はインフルエンザにかかっても、立てない間休むだけで、立てれば平常通り出講しました。社会一般がそうでした。