12月30日

扇屋へ鏡餅を受け取りに行きました。スーパーで売っている鏡餅には余計な装飾がついていて、例年買っていた飾りなしの鏡餅がないのです。和菓子屋ならあるかなと訊いてみたら、注文品になるという。一番小さい1寸を2組注文しておきました。一瞬、小さすぎるかな、来年は3寸にするか、と考えたのですが、できあがりを見たらこれで十分。ビニールパックされていない、肌が触れる鏡餅です。買って帰りながら、鏡餅を特注するなんて、何だか偉くなったような気がしました(20年前まではこれが当たり前だった)。

晦日の街は、みんな用事があって歩いている、という顔をしています。郵便ポストの前には、行列ができていました。帰宅して、小盆に紅白の紙を敷き、裏白と譲葉を敷き、鏡餅の脇には香川から届いた紅色蜜柑を載せ、金銀の水引をかけました。老舗の花屋が代替わりしてから店先が荒れ、最近は駅前の小さな花屋で買うことにしています。定番の梅や椿などは置いてない。今年は忙しいので、水盤に活けても世話ができないと考えて、唐津の瓶に活けることにしました。南天水仙、梔子の実、それに萌黄色のシンビジウム。どうにか正月の花らしい、めでたさが出ました。

しかし一つ誤算がありました。シンビジウムの香りがねっとりと甘く、夜の街の妖しい雰囲気になってしまったのです。このところ暫くシンビジウムを育てていなかったので、香りのことを忘れていました。正月はやっぱり、梅や水仙や、またはスイートピーフリージアのような、清楚な香りでなくては。

ある版元のツイッターに、執筆者の帰省先にゲラを送りつける鬼になった、とありましたが、我が家でも隙間だらけの通しゲラを送りつけてきた後、編集者は音信不通になりました。やれやれ。明日、雑煮用の肉を受け取り、蕎麦を食べれば年が変わります。