光村コレクション

よく晴れた1日。午前中は渋谷の大学図書館に出かけ、新着雑誌の論文に目を通しました。渋谷駅周辺は風景が変わり、斬新な高層ビルの隙間に見慣れた看板や小規模ビルが埋もれています。予め目次を検索しておいた数種の雑誌から読み始めました。静かな数時間ー勤務していた間は、大学にこんな静かな一角があるなんて、知りませんでした。

午後、根津美術館へ。光村コレクションの「甲冑・刀・刀装具」を誘ってあった後輩と2人で観て歩きました。外国人客が多い。大規模なコレクションだったらしく、ときには新たに注文して作らせた物もあったようです。明治維新の規模を改めて実感しました。

甲冑は殆どが江戸期の物でした。もはや実用品ではなく、一族のシンボルとして儀式の際に飾り付けるか、主が着てみせる程度に使用されたのでしょう。刀剣の方は古い名刀もあり、よく研がれた刃の光に、ちょっとひるむ気持ちになりました。私のお目当ては刀装具。精細な飾りがいろいろあって、そのデザイン性に驚嘆させられます。今回の展示にも著名な武士説話、思いがけなく抒情的な題材などを造った物がありました。ただ照明が暗いのと、あまりに精妙な彫刻なので、細部がよく見えません。オペラグラスを持ってくればよかった、と後悔しました。展示は15日まで、要予約。

第5展示室には二月堂焼経が展示され、8世紀の麻紙に写されたという経典や焼損を補修した銀字経があり、1300年も前の物とは信じられない保存状況でした。第6展示室の茶道具では、17世紀ベトナム渡来の染付龍文水指を2人とも、いいねえ、と言いながら眺めました。

青山通りの喫茶店で2時間ほどお喋りしました。最近の研究会動向、軍記研究の現況等々。久しぶりのカプチーノが秋らしく舌に柔らかい。極上の1日でした。