新発見の源氏物語

高木浩明さんからメールが来ました。高木さんは書誌学に大志を抱き、目下、古活字版悉皆調査に邁進している人です。

[去年の10月9日に、重要文化財に指定されている源氏物語写本と僚巻の「若紫」巻が新たに発見されて、報道各社によって大々的に取り上げられました。
古典文学研究への認知が凋落の一途をたどっている今、このニュースは朗報でしたが、報道された内容(源氏物語の写本についての理解)には、誤解が多く、耳を疑うようなものもありました。そこで、新発見の写本の鑑定をし、報道に発表した藤本孝一さん、源氏物語と書誌学の気鋭の研究者である新美哲彦さんと、やはり書誌学に詳しい久保木秀夫さんに、徹底的に議論をしてもらおうと、2月29日にシンポジウムを計画しました。幸い、朝日新聞社がスポンサーになってくれて、中古文学会との共催という形が実現しました。討論の司会は源氏物語研究の伊井春樹さんです。
1月15日付の朝日新聞朝刊の社会面に社告が掲載されましたが、朝日新聞デジタルにも、社告と同じ内容の情報が配信されています。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14326920.html
大阪の中之島での開催ですが、関西以外の方々にもご参加頂けたらと思います。私も当日の総合司会と、シンポジウム前の一般の方へのレクチャーをします。(高木浩明)]

源氏物語はご存じ紫式部の作ですが、現在私たちが接することのできる本文は、中世に藤原定家が校訂、書写したものです。私たちは、定家の眼を通して源氏物語を読んでいることになります。その辺の誤解を訂したい、というのが高木さんの意気込みのようです。