旅の代わりに

期限の迫った所用があって、丸ノ内へ出かけました。地下鉄に乗ったら、若いサラリーマンからすらりと席を譲られました。こういうことは、年に1回あるかないかです(譲ってくれるのは40~50代の女性か、たまに年配の男性。働き盛りの男性が譲ってくれることはめったにない)。今日は好い日だ、と思うことにしました。

好天で、歩くうちに汗ばむほどでした。美術館へでも寄ればよかったなと思いましたが、自宅にも期限の迫った仕事が控えていることを思い出し、地下街で軽食を摂って帰ることにしました。珈琲店はどこも一杯。ランチを食べる体力はもうない。北国の牧場のアンテナショップに入って、ソフトクリームとチーズケーキの盛り合わせで一服しました。

いつもは地方の物産品を置いているスーパーへ入ってみましたが、なぜか酒類の棚が増えて、地方の物は全く無い。落胆して店を出ると、向かいのだし茶漬店の雰囲気が変わっている。入ってみると、こちらに地下興しの物産品がぎっしり、並べるというより、詰まっていました。従来の定番名産品ではなく、最近開発したらしい、ヒットするかどうかこれから探る、といった感じの商品です。乾物が中心で、ふりかけやだし醤油の類が多いように見受けました。

鳥取煎餅が店頭にあって、懐かしいなと思いましたが菓子類は敬遠し、けっきょく買ったものは―淡路島のちりめんじゃこ、宮城の牡蛎山椒煮、青森の帆立佃煮、富良野の山羊乳チーズ、大分の鶏皮チップス、同じくかぼすジャム、それに鳥取福部村(ふくべそん、と読みます)の叩き梅辣韮。ちょっと一品足りない時に(惣菜でも酒肴でも)いい、または和え物などに応用の利く品を選びました。旅心も代理的に満足させられます。富良野は未だ行ったことがありませんが。