会誌終刊号

日本女子大学大学院の会発行「会誌」36号(2019/10)が、吉崎敬子さんから送られてきました。1979(昭和54)年から40年間、院生と卒業生たちが自発的に出し続けてきた学術誌も、当事者たちの手で幕を引くことになったそうです(時世柄、およその事情は察しがつきますし、終刊に寄せられたメンバーの文章にも、無念さと感謝の気持ちが溢れています)。

かつて2年ほど非常勤で、目白で教えたことがありました。当時は、甘い顔をすると授業崩壊になってしまうような大学もあって、強面で通しました。授業中にひょいと飲み物を口にした学生を叱ったら、翌週は机上から綺麗にペットボトルが消えていたことを覚えています。

私自身も学部は女子大学を出たので、女子集団の難しさはよく知っています。男子と同じ手法では出来ることと、出来ないことがある。それをよく見極めて、過保護にならないよう、あるいは独断的にならないよう、しなやかな対応が必要です。みんながみんな、大学や研究所の専門職に就いてやっていけるわけではない、そうならなくても、大学院で身につけたことがやがて、じっくりと花開く道をつけなくてはいけない。女子教育は、そういう問題に直面しつつごまかさずに、解決方法を探すことが必要です。尤も幸か不幸か、かつて女性特有の問題だった就職難は、今や男女平等に文系の院生にのしかかっています。

本誌掲載の回顧談中には、よく知っている男性諸氏の別な顔が出てきたり、女子教育の変遷の一部が垣間見えたりして、興味深く読みました。

歌により痛き思ひ払はんとする家持の言葉に惹かる(吉崎敬子)

まだ廊下に生徒の声がするやうな卒業式のあと自立と書く(光畑敬子)