聴耳頭巾

リルケの薔薇を剪りました。四季咲きの紅薔薇ですが、毎年12月後半に咲く花を、薔薇を愛し、その棘による傷が原因で亡くなった詩人リルケの命日に因んで、我が家ではこう呼んでいます。正月の花がそろそろ草臥れてきたので、卓上に挿し替えました。

去年の台風の影響で菊の花が1月遅れ、年末から盛りになって、黄・白・桃色、それに3年に1度くらいしか咲かない赤い豆菊までが、未だ咲き乱れています。黄色の小菊は、花の終わりには花弁が紫がかって来て、例年なら「うつろいたる菊」の風情を楽しむのですが、新年には雰囲気が違います。萎れ始めたら、さっさと切り落としてしまうことにしました。塩害に傷んだジャスミンは剪定して丸坊主にしたので、いつもなら今頃見えてくる蕾が未だ出ません。今春は駄目かもしれません。

室内では、胡蝶蘭がちゃんと花芽を出しました。故人から頂いた鉢です。シクラメンやシャコサボテンなど正月らしい大きな鉢物は、もう頂くこともなくなり、自分でも買わなくなって寂しくもありますが、この蘭は忘れずに花をつけてくれます。季節は必ずやってくる、そう信じて眼前の課題を解決していこう、と改めて思いました。

年祝いの花束に入っていた万年竹は、丈が伸びすぎ、さらに新しい芽も出て、途方にくれています。剪り詰めた芯を花瓶に挿しておけば、発根して、そのまま苗になる。もう植える鉢がありません。知人は「古典の杜とでも名付けては」と笑うのですが・・・

クリスマスフラワーに使った山帰来の赤い実を桜の木の枝にくくりつけ、小鳥たちの空腹しのぎに、と考えたのですが、来てくれません。春夏はベランダの手すりを歩き回っていたのに、季節によって訪問先が決まっているようです。実はどんどん干からびていきます。呼び寄せたくても、聴耳頭巾でもない私には連絡方法がなくて。