サバイバル

漆工芸作家の藤澤保子さんから手紙が来ました。木地捜しから造形、漆塗り、蒔絵まで一貫してやっている人です。中学時代の同級生。体の弱かった2人は、体育の見学仲間でもありました。女の子にありがちな虚勢やそねみのない、気持ちよく話せる人だったことを、60年経った今でも覚えています。

国文学研究資料館から東京芸大所蔵の音楽・語り物関係の文献調査を命ぜられ、疲れきって上野公園を横切ろうとしていた時、不意に呼び止められ、それが中学卒業以来30年ぶりの再会でした。昨年、船橋で、漆塗りの工程を展示する「藤澤保子うるし美術館」を開いたことは、このブログでも紹介しましたが、目下、3回目の展示替えをしているとのこと。南房総にあった工房が台風15号で被害を受けて機能しなくなり、混乱しているが、2~3年かけて整備するつもり、「サバイバルに強くなりました」と手紙にはありました。

モダンだけど典雅な作風。ゆるやかな曲線の木匙は、中学の美術用教科書にも載っているそうです。きっと外国人や子供たちにも、漆工芸のことを丁寧に説明してくれると思います。お問い合わせは yskfujisawa@gmail.com まで。