東名高速

タクシーを雇って富士霊園へ墓参りに行きました。遠いので単独行は心配ゆえ、知人についてきて貰ったのですが、連絡手段がPCメールとショートメール、ガラケースマホ、という具合にちょっとずつすれ違い、待ち合わせで30分ロスしました。台風後の東名高速をひた走ります。天候は小雨、富士山はおろか箱根も、すっぽり雲の中です。

人造石の墓石にも54年の歳月で苔が付き始め、紅葉前の林は静かで、人気は殆どありません。マリーゴールドが雨の重みで倒れ伏してはいましたが、よく管理されていました。濡れ落葉を拾い、持って来た小菊と竜胆や藤袴を供えて、線香を焚きました。年1回でも、誰のお墓でも、お参りすると何故か心が落ち着くのが不思議です。

遅い昼食を簡単に済ませ、土産の菓子を買って、帰途に就いたのですが、上りの東名高速は大渋滞。結局、家に着くまで5時間近くかかりました。知人が1年分年を取ったこと、私も耳がやや遠くなったことを意識しながら、よもやまのお喋りをしました。彼の3人の子供たちのこと、2人の孫のこと、定年後はキャンピングカーに家族を乗せて全国を旅したいという夢を抱き、大型車の免許も取ったのに果たさなかったこと、名古屋・東京間をスクーターで走破したこと、伊勢湾台風の思い出、国産ジェット機完成が遅れているのは何故か、社交ダンスは何故五輪競技にならないか、最近顚倒したこと、樹木葬が流行していること・・・ふと気がつくと、車内の映像・録音は保存しますと書いてある。48時間経って何事もなければ消滅するそうですが、タクシー内ではうっかり、発表前の新元号の話や、入試問題の相談などをしてはいけないのでした。

東京へ入ったら、街の灯りが随分久しぶりのような気がしました。木犀の香りが、街を浸し始めました。