おきゅうと

福岡の従姉から、おきゅうとが来ました。おきゅうとは、エゴという紅藻で作った、博多のソウルフードと言われる食品です。知らない人に説明するのはなかなか難しいのですが、ところてんの透明でない、やや重いものを想像して貰うと近いでしょう。きしめんのように切って、削り節と醤油をかけて食べるのが一般的ですが、酢醤油や生姜醤油、胡麻醤油でも可。最近の若い人はマヨネーズで食べるというので、年寄りが嫌がっています。

朝食に出るのが普通で、昔は呼び売りが来たそうです(豆腐屋のようなものでしょうか)。似たような特産品は佐渡(緑色だった記憶がある)にもあり、山形に行った時にもあったと思います。以前は薄く作って紙のように干し上げたものが、郷里を離れた福岡県人にはよく送られました。水につけてもどしても生のようにはふっくらしないので、美味しいとは思えず、子供の頃は嫌いな食品でしたが、博多で本物を食べて初めて納得しました。河豚に関しても、味醂干しで送られていたものが、今は半生干しで送れるようになり、ようやく父祖の地の味を理解するようになりました。

いつも買う海産物問屋に行ってみたら、シャッターが下りとって倒産整理中の札が貼ってあったとよ、と従姉から電話があって、「そげんで、おいちゃん(伯父さん)の命日には間に合わんけん。ごめんね」というお詫び付きでした。ふくやから届いた詰め合わせには、おきゅうとのたれも入っていて、少量しか食べない老人にはこの方が便利です。時代の変遷に、自分たちも滔々と流されつつあることを実感しました。