日本古典文学学術賞

国文学研究資料館賛助会主催の「日本古典文学学術賞」授賞式に出ました。今年から財団法人日本古典文学会主催でなく国文学研究資料館賛助会が引き受けて、名前も変わりました。会場は立川(遠い~)。受賞者の1人が軍記物語を研究している渡瀬淳子さんだったので、案内状が来たのです。冠婚葬祭は年寄りの役目かな、と思って出てみました。式はシンプルなもので、新館長のロバート・キャンベル氏の流暢な挨拶がありました。祝賀会では、とつぜん乾杯の音頭に指名されて(多分、最年長だった)慌てましたが、何とかスピーチらしいものをして、しのぎました。

渡瀬さんの受賞対象の著書『室町の知的基盤と言説形成―仮名本『曽我物語』とその周辺―』(2016 勉誠出版)は、2002~2015年に書き溜めた論文集で、早大の学位論文です。率直に言って、1冊全体曽我物語の研究を標榜するのはどうかな?という感じもなくはないので、副題は別の方がよかったかと思いますが、ご本人にとっては曽我物語から出発したことが大事なのでしょう。仮名本曽我物語、剣巻、和漢比較、語彙考証の4つの章立てになっています。著者は未だあれもこれもやってみたい、という人生の最も楽しい時期にいるので、今後どういう方向へ進んで行くのか、傍目にも興味深いところです。

会場には女性が多く、時代の推移を如実に感じました。それにしても立川は遠い~往復3時間半かかりました。