アマリリス

あちこちの軒先でアマリリスが咲いています。子供の頃、庭に造った円形花壇の真ん中に球根を植え、初めて咲いた時は家族中で喜びました。梅雨の晴れ間にぽっかり咲く、大きな花。野生の草花や和風庭園とは全く違う雰囲気の花でした。

当時は、オルゴールの「アマリリス」という曲が流行っていました。単純なメロディで、木琴でも弾けました。ネット検索してみると、フランスの曲ですが、日本で小学校教材に使われていたようです。

その後は、大輪の咲く時期に葉がないのが不釣り合いで、自分で植える気にはなれずにいました。世田谷に住んだ頃、銀行の2階の出窓に、毎年アマリリスの鉢植えが恭々しく飾ってあるのを見かけ、何となく違和感がありましたが、後日、みかじめ料の領収書代わりに使われていたものだったことを知りました。花に罪はありませんが。

調べてみてアマリリス彼岸花の仲間だと分かり、花期に葉がないことを納得しました。じゃがたら水仙の別名があること、浜木綿や夏水仙キツネノカミソリも同じ仲間だということ、アマリリスという名は、ギリシャの詩に出てくる羊飼いの娘の名だということも。

水仙赤間神宮行幸所の車止めに、1株だけ咲いていたのが忘れられません。文献調査に明け暮れた真夏のことです。キツネノカミソリ臼杵の石仏群の前に群生していて、ちょっと不思議な風景でした。もう何年前のことだったか。