11月16(土),17(日)日の2日間、渋谷の國學院大學で同大学の国文学会が開催されます。16日の午後には、能狂言が専門の岩崎雅彦さん、御伽草子が専門の徳田和夫さんの講演があります。学会員でなくとも、事前申し込みがなくても来聴歓迎。
詳細はこちら。令和6年度 國學院大學國文學會秋季大会 – 國學院大學
17日の午後には福井高専の大谷貞德さんが、「長門本『平家物語』伝本の伝播と享受」という題で研究発表をするそうです。発表要旨を見るとこんな内容です。
【旧蔵者が明らかな伝本を調査したところ、関係性の深さを思わせる伝本が幾つかあることがわかってきた。本発表では、伊勢の地において豪商と呼ばれた家や国学者の間で書写されていたことがわかっている伝本を取りあげる。伊勢の地で、どのように長門本が拡がり享受されてきたのか、その具体的な様相を明らかにしたい。】
発表準備の進行状況を尋ねると、こんなメールが来ました。
【津市図書館本と川喜田本は非常に近い関係にあり、早稲田20冊本、宮書弘化2年本と合わせて関係の近い伝本として一括できそうです。津市図書館本の書き入れにある「一本」がどういった本文であるのかを追究しているところです。ゆくゆくは、長門本伝本の拡がり方を、他の文学作品との関わりや時代背景などにも及んで見渡せるようにしたいと考えています。道のりは遠いですが頑張ります。】
石水博物館蔵川喜田本と、稲垣定穀旧蔵津市図書館本、神宮文庫本、赤間神宮蔵の三田葆光が黒川真頼本を透写した本、宮内庁書陵部蔵弘化2年本、早稲田大学蔵20冊本、そして松平定信の依頼で長州藩が阿弥陀寺本を写させた本・・・と次々に鎖の輪が繋がっていく話は、『長門本平家物語の新研究』(花鳥社 2024/10)を御覧下さい。