銀杏

行きつけの肉屋の女将から、銀杏を貰いました。早速10粒ばかり、フライパンで炒って、胡桃割り器(木製カップにねじ込みの棒がついているもの)に入れてみましたが、小さいのでなかなか難しい。ネットで調べたら、封筒に入れて電子レンジにかければいいと分かって、実行してみました。拍子抜けするほど簡単。神式結婚式の引き出物に貰った特製の塩をまぶして、TVを視ながらぽつり、ぽつり、酒肴にしました。

東大構内は秋には銀杏の実がこぼれ、かつては近所から拾いに来る人もいましたが、門衛が呼び止めて、国有財産だから、と没収してしまう。大学院の時、同期生(愛妻自慢の男でした)が、日曜日に妻と一緒に拾った、と弁当に入った銀杏を見せびらかすので、どうやって門を通ったのか訊いたら、日曜日なら大丈夫だ(当時は門衛も国家公務員だった)と言うのです。ああはいはい、と聞いておきました。

名古屋の小さなマンションの2階で暮らしていた時、1階の住人が、庭でトロ箱何杯もの銀杏を水漬けにしていました。近所の並木で拾ったのでしょう。独特の悪臭を詫びられたので、当然お裾分けを期待したのですが、ありませんでした。爾来、「銀杏を貰う」ことに憧れていたので、今冬は少しずつ大事に味わいたいと思います。

女将には、ベランダで咲かせた黄菊の枝を剪って届けました。姑の仏壇に上げると喜ぶ、と嬉しがってくれました。