薔薇の一日

素馨花の刈り込みに午前中一杯かかってしまいました。去年忙しかったので、蔓が伸び放題、枯葉や枯れ枝が溜まって花付きが悪くなったのです。給水公苑の薔薇が綺麗だよ、と道行く人が話していたのを聞き、午後になって出かけました。日差しは暑いが風が強い。鯉のぼりを泳がせ、川上澄生を憧れさせた初夏の風です。

薔薇はよく手入れされ、今を盛りと咲き誇っていました。草むらには赤詰草や茅の花が咲き、空気は芳香に満ちて、青空に楓の新緑がよく映えます。ベンチで新聞を読んだのですが、菖蒲池に架かった橋を3組の家族が占領し、小魚を捕る子供たちの絶叫と、何の遠慮も無く興奮しまくる父親の声がやかましい。「池の魚を捕らないで」と看板が立っているのに。

思い立ってバスに乗り、大塚駅前の薔薇を見に行くことにしました。駅前は整備され、都電の軌道内には銭葵や紫蘭が、そして線路脇にはドイツ、イギリス、フランス、香りの薔薇、と区分けして、さまざまな種類の薔薇が植え込まれています。ぼかしの花弁は殊に素敵。撮影する人も多く、地元の大人たちが楽しみながらそぞろ歩きしています。

満足して、駅ビルの「漁師料理」という看板を出している店に入りました。焼き茄子、茗荷と胡瓜のサラダ、穴子の天麩羅で、北雪の燗酒1合を注文し、ほろ酔い直前で帰りました。明日からは、この3ヶ月煮詰まっていた原稿を書き始めよう、と決心して。