一枝のドラマ

路傍のプランターに植えっぱなしの蔓薔薇が咲き始めました。買い物帰りにちょうどプランターの持ち主に遭ったので、蕾が3個と花が1輪ついた、20cmくらいの枝を1本、剪って貰いました。挿し木して育ててみる心算です。よく似合う笠間焼の一輪挿しがあったので、卓上に飾って、濃いピンクの蕾が次々に開いて徐々に白くなってゆくのを楽しみました。

3日目くらいに、腋芽が出て来ました。翌日、葉の裏が部分的にレースのように透けているのに気づきました。青虫がつくとこうなるので、丹念に葉をめくってみましたが、何もいません。虫は別の枝へ移った後だったのかなと考えてほうっておいたら、2日後には葉に歴然と虫食いの痕。再び調べると小さな小さな青虫が2匹、早速潰しました。小さすぎて今までは見えなかったらしいのです。

1週間経ち、腋芽は何と新しい蕾を出しました。挿し木は暫くお預けです。花が散り始めましたが、薄くぼかしのかかった花弁が桜の花びらのようで、そのまま卓上に撒いて眺めることにしました。花托を切り落としたら、油虫が2匹と小さな蛾が1匹(これがあの青虫たちの親かも)、隠れていました。

自然界の中では当たり前の出来事だったかもしれませんが、一枝剪り取ってきたおかげで、卓上に小さなドラマが展開しました。