黄金週間

柏餅を買いに扇屋へ出かけました。街は親子連れやカップルがぶらぶらしていますが、空いています。正月三が日や黄金週間の東京を歩くと、ああ、人間が住む場所はこのくらいの人口密度でいい、と実感しますが、つかのまです。

この通りでは、いつもならルオーか巴屋など、学生時代からなじんだ店にしか入らないのですが、休日には何かしら新しい体験をしたくなるもの。アジアン・ダイニングという看板を出したインド人の店に入ってみました。胃腸にやさしいものをと、チキン・フォーとアイスコーヒーを注文。メニューにはチャイもあったので気が動きましたが、かつて何かの本で、砂糖と茶葉とミルクを煮出したどろどろの飲み物、と読んだのを思い出し、諦めました。店員の笑顔がいい。インドでは了解のしるしは首を横に振るので、初めての時にはまごつくのですが、彼は流暢な日本語でした。

BGMのインド音楽が、ビートも音質も身体にやさしく、心地よく感じられたのはやや意外でした。注文してから、フォーはベトナム料理?と疑問を持ちましたが、インドにも麵はあるようです。野菜たっぷりで、スープも淡泊な、ヘルシー料理でした。調味料にしょっからい醤油みたいなもの(ヌクマム?)と、唐辛子のオイル漬(沖縄にもあります)が添えられていました。

珈琲と共にかるく本を読んで、勘定を済ませ、小路を1本遠回りしました。2階まで、紅い房咲きの蔓薔薇が絡んだ家があるからです。梧桐の古木も2本あり、庭木に梧桐が流行った頃に建てられた家でしょう。薔薇は今が満開でした。