談笑力

近所のマンション建て替え工事が進み、敷地の境界ぎりぎりまで造った外郭ができあがって、空地がないため、諸々の作業を我が家の窓下の駐車場でやるようになりました。工事関係者の10時、昼、3時の休憩には円坐を組んでの談笑がうるさい。座中には必ず、仕切る人がいて賑やかしています。

工事関係者というのは、その場で出会った見知らぬ者同士がいきなり「仲間」になって仕事をするので、この「談笑タイム」が貴重なのらしい。ふとした間合いが合わなくて、命に関わる大怪我をすることもあり得るからです。それゆえこの業界では、「談笑力」とでもいうべき能力(談笑の場を創り出す、またその雰囲気に巧く乗っていく能力を仮にこう呼ぶならば)が必須なのだと見受けました。

世田谷にいた時、喫茶店で、座を仕切ろうとした人物が見事に失敗する場面に遭遇したことがあります。また遠縁にトンネル工事会社の一家がいますが、法事の席で、その次男坊の談笑力を背中で聞きながら、舌を巻いたこともありました。親父さんは、高血圧で酒をやめたのに煙草をやめない。注意したら、休憩時間に煙草をふかしながら職人たちと話をしないと、この仕事は務まらないんだ、と言われました。

窓下の1日3回の談笑は、内装工事、電気工事、生垣の植え込み、と作業する職人が変わるにつれて雰囲気が違うようです。仕切る人の性格によるのでしょうか。それにしても、うるさい・・・