繰り返すなら

教員だった頃、私の教育には極めて単純明快な原則がありましたー真面目にやっている人の前ではふざけるな、どうしても自分が真面目になれないなら、黙ってその場を出て行け、ということです。そこまで口に出して言うのは最後通牒なので、殆ど言ったことはありませんが、私が叱ったり怒ったりする時はその原則に基づいていることは、生徒・学生には理解されていたと思います。

天声人語」という有名なコラムがあります。ある朝、読んで驚きました(7月29日付)。6月10日に宮城県大河原町の町議会を見学した小学6年生たちの感想文に、議事中にスマホゲームや居眠りをしている議員がいた、との指摘があり、議会はゲームをしていた議員に辞職勧告決議をし、本人は脅迫もあったことをほのめかしながら辞職しました。コラムは「職を辞さねばならないほどのことだろうか」と問い、「繰り返されるなら身の振り方を問う」のが順序だと言うのです。居眠りとは扱いの差があるのが不思議、とも言っています。大手紙の記者って、暢気な商売なんですね。

私の授業では居眠りは大目に見ましたが、私語や大幅な遅刻や、いわゆる「内職」は許しませんでした。殊に定時制看護学校では、思わずうとうとするのは仕方がない。しかし意図的にその場に相応しない行動を取ること、他人をそれに巻き込む者はその場に居てはならない。そこはそういう者にとって用意された場所ではないからです。

大河原町は桜並木で有名な町。町議会の定員は15,議員の平均年齢は60歳、議員報酬は¥252000、現議員は2021年4月に投票率52%弱で選ばれ、議会の録画はインターネット配信されています。当該議員は73歳、開会中、殊に未来ある地元の小学生に見学される際の振舞について、「繰り返すなら」と言われる年齢ではないでしょう。