新聞の投書欄が、老人ホーム内での交際について特集をしていました。愚痴、成功例、助言などを読みながら、老後の知恵は案外共有されていないし、老後の現実についても知られていないことが多いんだなあ、と思いました。そういう話題を書くと、ブログのアクセス数はがたんと落ちるだろう、という気がしましたが、一方ではそういう発信があってもいい、いや必要ではないかという気もするので、ときどき書いてみます。
地方勤務だった時に父の心臓に問題があることがわかり、住んでいたマンションは夜間は住民しか出入りできないので、施設に移ることを勧めました。所謂ケア付きマンションです。本人は嫌がり、私は職場の同僚たちからは非難の目で見られました(未だ老人ホームはそう見られていた)が、私が職を捨てるか父を知らぬ土地へ連れて来るか、というわけにはいかない。いろいろ調べて、最後に2つの民間老人ホームを訪ねて、決めました。決め手は交通の便ともう一つ、説明に出てきた女性があまり着飾っていない方にしたのです(当たっていました)。我が家になるのだからくつろげないといけない。
いろいろなことを質問して最後に、私が施設内の人間関係を尋ねた時、その女性の説明が記憶に残りましたー最初は皆さん、全員で仲良くしようとして失敗し、気の合う同士だけが親密になればいい、ということで落ち着いた、というのです。なるほど。どこのコミュニティでも最初、必ず世話を焼く人がいる、しかしそれは仕切ろうとする人なので、それに従いて行こうとするといずれ無理が出る。
老人ホームは高齢女性が多い。父は組織内の勤め人でしたからうまくいき、彼女たちから可愛がられましたが、うまくいかなかった親族もいました。老人ホームで暮らすにも能力が要るんだなあ、とつくづく知りました。