靴を履く機会が減ったら、なぜか外反母趾がひどくなり、痛くて眠れない夜もあるので、鼻緒のある履き物を履くことにして、30年前のビーチサンダルを探し出しました。ゴムとタオル地でできた、古典的なビーチサンダルです。
鳥取に赴任してすぐ、砂地を歩くのにはあれがいいと思ったのですが、未だ街のどこに行けば手に入るかが分からなかったので、帰京した際に買って手荷物に入れ、空港へ向かいました。その日は持って行く物が多く、ボストンバッグはぱんぱんに膨れあがり、チャックがやっと閉まったのでした。ところが、いつもはスムーズに通る羽田の手荷物検査で、引っかかりました。中身を全部出せ、と言う。怪しい物が入っていない自信はあるので、むっとして口答えしましたが、係官はどうしても全部出せと言い張ります。
X線検査に引っかかったのは、ゴムでできたビーチサンダルでした。係官も苦笑。疑われた私は機嫌がわるい。元通り詰めて、と言ってしまいました。しかし無理矢理詰めこんできたバッグに、再度詰め直すのは容易ではなく、搭乗時間は迫る。やっと詰め終えたバッグを持って走りました。
もう一度だけ、空港で引っかかったことがあります。何か丸い物があると言われて、カンボジア土産の銀製のコンパクトに思い当たりました。ちょうど手榴弾くらいの大きさです。疑われても仕方がない。今度は私も素直に取り出し、自分で詰めました。爾来、コンパクトは携帯しないことにしました。
鳥取へ持って行ったビーチサンダルは履きつぶしましたが、予備にもう1足買って置いたのを探し出し、いま履いています。