自尊心

選挙戦もあと3日。駅前や宣伝カーの演説を聞いていると、何だかカネをくれる(くれた)話ばっかりのような気がしてきて、有権者としての自尊心が傷つきます。ある党は好景気になった、雇用も税収も保険料納入額も増えた増えた、と言う。賃金も上げる、教育費も保育費も無料にする、と言う。他の党は、消費税は上げない、最低賃金を上げる、年金は減らさない、と言う(で、財源は?溜まった財政赤字はどうするの?)。

くれるくれると言う前に、国政選挙でしかも当選すれば6年間は議員の座にあるわけなんだから、向こう6年間何をやるのか、6年後にどんな日本をイメージしているのかを語って欲しい―そう思いませんか。少なくとも、自分の想い描く近未来の理想的社会の基本条件を述べ、それに至る経路を聞かせて欲しいのです。完全な道程が描けなくても、当選後、日々、何を目指して何を実践するのかを開陳して欲しいと思います。

世論調査も、消費税率の引き上げ賛成か反対かだけを訊くのでなく、財源問題、今後の社会保障制度についての知恵もセットにして訊いて欲しいと思います。年金制度や財政の難しい議論は我々にはできませんが、現在の暮らしの苦しさをどこまで、何に向けて我慢すればいいのかは、知らされて然るべきでしょう。

生活実感が一向に上向かない、それは我々の感覚の方が正しいのです。富裕層からもっと絞り取れ、との古典的な意見には限界があります。社会保険を脱退してしまう人、外国に籍を移す人が続出したら元も子もなくなります。ある程度高率にしたら頭打ちにするしかありません。

ざっくりでいいから、立候補者には一人一人、自分の政治理念、あるべき社会像を語って欲しい。駅前で、交差点で、選挙公報で。