このところ、行き違いや情報不足でうまくいかない事案が続き、今日は夕方の厄介な会議の前に、消防設備点検に来たあんちゃんの勘違いミスに振り回され、散々な一日でした。こういう日をさんりんぼうと言うんだな、と思いました。
子供の頃、祖母がよくこの語を気にして、何かうまくいかないことが続くと、今日はさんりんぼうだから、と言ったりしたものです。現代でも冠婚葬祭には大安とか友引とか、暦の上での吉凶を気にしますが、三隣亡はあまり言われないな、とネットで調べたら、建築関係で凶日とする、とあって、はっとしました。祖父は大工の棟梁だったのです。農家から嫁に来て、徒弟たちと子供たちぐるみの一家を切り盛りした祖母には、三隣亡という禁忌は、一大事だったのでしょう。
ネット上の説明では、もともと江戸時代には吉日だったものがいつからか凶日とされ、3軒隣まで不幸に巻き込む、という字を宛てられたとあります。子供の頃は祖母が言う「さんりんぼう」がどんな字なのかは知らず、勝手に3輪棒だと思い込んでいました。
昭和20年代には、「封建的」と「迷信」という語が、目の敵というか嘲笑の対象というか、何かにつけて非難の的に対して投げかけられる言葉でした(ちなみに寅さんが、「ふうけんてきだよ」と言うギャグが何度かありますが、彼ならば日常耳から聞いていた語で、漢字で見て覚えたはずはない)。三隣亡も、迷信として嗤う人もいましたが、棟梁の嫁の役を全うした祖母にとっては、守るべき文化だったのです。
厄介な会議は、2時間余で最終目的に向けた姿勢を一致させて終わり、消防設備室内点検のスタッフ教育への注文も管理会社に告げ、寒かった一日が暮れました。昨日買ってきた芹を胡麻油と塩で炒めて、明太子や焼豚と共にクラフトビールで、夕食。