越前だより・京大訪書篇

福井高専の大谷貞德さんから、京大図書館へ調査に行ってきた、と写メールが来ました。研究の方は快進撃のようで、殆ど週末ごとに各地へ文献調査に行っているらしい。

吉田神社参道

京大のすぐ傍に吉田神社があります。貞観元(859)年、藤原山蔭春日大社を勧請したと伝わっていますが、文明年間(1469-1487)、吉田兼倶吉田神道を主張し、寛文5(1665)年には全国の神官人事権を握り、近代になって国家神道が権力を持つようになるまで、政治にも絡む一大勢力でした。

私も京大へは長門本の調査、源平盛衰記の調査、そして大学院の集中講義と、何度も行きましたが、どうも吉田神社には足が向かず、お参りしたことはありませんでした。

吉田神社

京都へは30代の頃、短大の講師として1年間、週1で通勤したことがあります。未だ新幹線が故障したりせず、自由席の回数券が使えました。始発で京都へ行き、烏丸長者町で1コマ講義をして、東京駅から本務校の定時制に駆けつけました。京都は珈琲が美味しい、パンも美味しいということを発見したのはその時です。勿論、餡菓子はどんな場末の店で買っても美味しいのですが、東京では未だインスタントの粉コーヒーを平気で出すような喫茶店がある時代、京都は、小さな喫茶店に入っても珈琲は間違いなく香りが立ち、地元の客の口がうるさいんだな、と思いました。駅弁の萩乃舎のフランスパンサンドがお洒落で美味しくて、帰りの昼食はいつもそれでした。

鯖江から列車を乗り継いで京都へ出た大谷さんは、調査だけで時間一杯だったそうですが、そこは國學院出身、地元の神社にはちゃんとお参りしたようです。鯖江体操競技王国なのだそうで、巴里五輪で活躍した杉野選手は地元の鯖江高校出、国際大会用の建物もあるそうです。恐竜だけじゃないんだ。