ピーマンが嫌いで、生のままでは食べられない、という話は以前に書きました。天麩羅にするか、せめて千切りにしてよく炒めるかすれば食べはしますが、美味しいとは思えません。長野出身の友人が未だ東京で働いていた頃、年に何回か、食材持ち寄りで、どちらかの家で語り合うのが慣わしでした。お互いに、職場や社会の中で積もる憤懣、笑うしかない鬱憤を、一緒に晩餐を作りながら解消したのです。
珍しい食材を探したり、思い切って松茸を買ってみたりもしました。ある時は、料理が出来上がる寸前に電話がかかってきて、私は戸棚の中からそれらしき徳利を見つけ出し、洗って燗をつけたら、友人がしきりに何か手真似をする。面倒な相手で、受話器を置くことができないらしい。じつは徳利ではなく花瓶だったのでした。
またある時、彼女が黄色い大きなパプリカを1個、他の食材と共に持参しました。デパ地下で見かけてあんまり綺麗だったから、と言うのですが、私は頑として調理せず、持ち帰って貰いました。大型ピーマンとしか思えなかったからです。近年、スーパーでも赤や黄色の食用パプリカに結構な高値がついています。無縁の物と眺めるだけでした。
県民ショーというTV番組で、博多の居酒屋で最近人気のおつまみは、生ピーマンだという話が出ました。冷やして2つに割るだけ、味噌をつけて肴にするというのです。嘘だろ、えぐみやあのざくざく感は酒とは相容れない、と思ったのですが、酒肴には口の肥えた博多のこと。試しに赤い食用パプリカでやってみました。縦16割りでわたを抜き、凍結直前まで冷やし、マヨネーズをつけて恐る恐る食したところ・・・美味でございます!マヨネーズには味噌か醤油、または山葵などを混ぜて和風にするのがいいようです。
友人には今さらながら、お詫びのメールを出しました。