胡瓜

胡瓜と言えばかつては河童を連想したものでしたが、今では説明が必要でしょう。旧盆の前夜に苧柄を燃やして迎え火を焚き、茄子や胡瓜に足をつけた乗り物を用意して先祖の霊をお迎えした風習も、東京でも20年前までは残っていましたが・・・

英語では、冷静なことをcool as  a cucumberというのだそうで、蔓にぶらさがった様なのか、皿に乗ったサラダなのか、母国語でない人間には今ひとつイメージできません。今どきの胡瓜畑では風が吹くと、カラカラと音がする、曲がらないようにプラスチックのコルセットをはめるから、という話を聞いたことがありますが、ほんとうでしょうか。

今は季節に関係なく八百屋に出ますが、胡瓜はやはり夏が旬です。家で生り過ぎたからと言って、学生が5,6本新聞紙に包んで宇都宮から届けてくれ、スティックにしたらマヨネーズが邪魔なほどみずみずしく、美味しかったことがあります。小さめのものは薄く輪切りにし、ラディシュも同じように切り、冷たく冷やして中華ドレッシングをかけると、見た目も夏らしい小鉢ができます。太くても縦割りにしてわたを削り、ピクルスにできます。一晩薄い塩水に浸け、翌日甘酢に漬けます。月桂樹と唐辛子、それにお好みの香料をたっぷり、和紙に包んで一緒に漬けます。クローブ、セージ、ナツメグその他、お好みです。2日もすれば食べられますが、保存も利きます。

鶏肉との炒め物は夏向きのスタミナ食。胡瓜をごろごろ乱切りにして、鶏と一緒に塩胡椒で炒めます。少し鶏肉の脂が出た方がよい。胡麻油を足せば香りが楽しめます。旬の胡瓜には甘みがあるので、味付けは心持ち濃いめに。コンソメ顆粒を振ってもいいかもしれません。

でも、極めつけはやはり糠の古漬ですね。