狼伝承で村おこし

國學院大學学報」718号(2022/12)に、「オオカミの縁に導かれ移住先で神社再建」という特集記事が載っています。2016年に文学部日本文学科の伝承文芸専攻を卒業し、山梨県丹波山村(たばやまむら)の村おこし協力隊員として現地に移住した、寺崎美紅(みく)さんへのインタビューです。

日本では幻の獣となってしまったと考えられているオオカミに、彼女は3歳の頃から熱中し、高校時代には柳田国男の『遠野物語』に惹かれ、民俗学と文芸との両方に跨がる研究ができる大学を求めて進学したのだそうです。2013年、大学のフィールドワークで雲取山へ登る途中、狛犬が狼だとされる七ツ石神社が荒れ果てているのを目撃し、調査を始めたという。丹波山村役場を訪ねて自分の関心を話したところ、登山と文化財保護が出来る人材として歓迎されたのが移住のきっかけだったらしい。

それからの彼女の活動ぶりには感服しました。オオカミ愛の熱さもさることながら、それを文化財保護&村おこしのビジネスへと具体化し、実現方法を編み出していく手腕は、経済誌やTVドキュメントの素材に相応しいくらいです。

まず標高1757mの山頂にある七ツ石神社を再建するのにどうするか。村の文化財に登録しようと、広報活動と共に、休眠状態だった村の文化財審議委員会の再建から手をつけたそうです。母校の同窓会を通して地元の宮大工を紹介して貰い、林業用トロッコやヘリコプターを使って壊れかけた社を修復し、公開したという。さらにWolfship Designというブランドを立ち上げ、オオカミグッズや絵本『蒼い夜の狼たち』を作成、文化継承と観光とを支える物語の創成に成功したとのこと。

本記事に関するお問い合わせは、國學院大學広報課(電話0354660130)まで。