豊後便り・中津篇

別府で悠々自適の友人から来た写メールです。

中津城

【ちょっとした用足しのついでに中津の町へ行き、中津城を見学してきました。黒田官兵衛が築城した海城で、日本三大水城の1つとされているそうですが、濠の石垣の一部が残っている他には、黒田官兵衛時代をしのぶ面影はあまりありませんでした。現在の天守閣の中はコンクリートで改修され、登りやすい緩やかな階段になっており、老人には優しいお城です。

地元の銘菓という「ビスマン」なる菓子を買って帰りました。】

再建する城はどう言い張ってもレプリカです。多くの人に見せるため以外の、どんな高尚な目的があるというのか。高齢者にも障害者にも、同じように見学の機会を保障すべきでしょう。民主制度下の1市長には、己れの記念碑として城を造るほどの権力は与えられていません。

中津には学生時代、バックパッカースタイルで行きました。普通列車の時間の合間に観光するしかなく、中津では福沢諭吉の生家を観ただけです。次の列車まで時間が半端だったので、開店早々の駅前のパチンコ屋に入って仕掛けに興ざめした話は、以前にも書いたことがあります。

その後40年経って、耶馬溪文庫へ長門本平家物語の調査に行きました。川の中州にある文庫で、洪水の際には蔵書を避難させたそうですが、一緒に行った院生たちは、こんな所に文庫を置くなんて信じられない、と呆然としていました。

「ビスマン」とは単刀直入の命名(ビスケットと饅頭のコラボ)ですね。彼が別府へ移住した当初、レストランの料理や名物に失望したメールが来たので、地方暮らしはそれじゃ楽しめない、その地のB級グルメを狙うのがコツ、と教えたのです。