コロナの街・part 41

じわじわとコロナ第8波が来つつある気配で、今のうちに、と大学図書館へ出かけました。今日も汗ばむような晴天。ようやく銀座線から最短距離でバス停へ行く道を覚えました。今年は朝晩の寒暖差が大きいので、東京も紅葉が鮮やかになりそうです。

図書館が新築を機に原則開架とした時は、本の管理は大丈夫なのか、と心配したものでしたが、利用する側になってみると、買うべき本か、複写すべき論文かを見極めたり、現在の研究動向や学界、出版ジャーナリズムの動きを見渡すには開架式が有難い。ただ照明を落としているのか、老眼のせいなのか、隅っこの棚のラベルが読みにくく、次回からは懐中電灯を持ってこよう、と思ったくらいでした。一方で雑誌類の棚に手が届かず(身長が縮んだのです)、踏み台に乗ろうとしたら、職員が飛んで来て、カウンターにお申し付け下さい、と言われました。定年後8年も経っているのに、と恐縮しました。

それにしても今どきは、論文をさんざん引用した相手にも、抜刷を送る習慣がなくなったらしい。若かった時は、「御学恩により書いたものでございます」とお礼状を添えて年長者に抜刷を送るのが、恐る恐るでもあり喜びでもあったのですが。

早めに切り上げて、タクシーを拾って根津美術館へ行ってみました。ほぼ3年ぶりです。庭園は薄紅葉していました。外人客と若いカップルが多い。15,6世紀の襖絵と茶器、彫漆の展示を観て歩きました。織部の小さな振り出しが目に止まりました。さりげなく食卓に置きたいな、と思いました。

ワンコインバスで赤坂へ出て帰りました。外苑前の銀杏並木、赤坂御所の紅葉も色づき始め、とらや本店、豊川稲荷、かつて軍艦パジャマと言われたホテル・・・それらも今は巨大なビルの谷間になってしまいました。弱った脚力は、玄関に辿り着いたら限界でした。