振り返ってきた通り、若手の自由な研究の場として発足した同人会から、世代を超えた研究会へ、そして200人規模の模擬学会へと性格が変わり、少しずつ制度を整えながらも過去の経緯を引きずってきた軍記・語り物研究会ですが、近年の研究動向を踏まえて考えると、もはや軍記物語というジャンルで括って、200人規模の活動を運営委員が牽引していくには無理があると思われます。個々人がいい研究を出し、その成果が共鳴する場となるのが理想的なので、もっとボトムアップ方式を採り入れるべきではないでしょうか。会員の中には、小規模な研究会やプロジェクトチームを持っている人たちも少なくないので、その成果や進行中の経過を開示して貰う。会員たちが各々、この会に何を期待しているかを反映して、少しでも実現していくのが望ましい。
私にとっては、毎年の研究文献目録が有益で、何か新たなプロジェクトを起こす時のスカウトの場でもあり、たまに若手の有望な研究発表を聞いた時は嬉しくもあります。自身を省みれば、眼前に出てくる問題を解決するのに逐われてここまで来てしまった、というのが現実ですが、ときには大勢の前で自分の試行を報告して意見を訊きたいと思うこともあります。しかしそれは大抵、従来の研究の枠をはみ出すものなので、飛びつくように通説は××、先行研究は○○、と塗り込められるのなら話してみる意味が無い。
今年度は新型コロナ流行のため、会は一度も開かれず、総会議事は郵便により、11月末日までの返信を求められています。この際、会員は自分がこの会に何を求めるのか、何が改善されて欲しいか、考えてみては如何でしょうか。貴方任せで、研究動向を知るのに便利だから、だけでなく。60周年を機に解散するのも一案。学会ふうにするなら、公明性確保のための制度整備を検討するのは必須でしょう。