体験的電子事情・研究会篇

母校の中世文学研究会がオンラインで開かれました。今回はzoom経由で、発表資料は前日に配信されました。野本瑠美さんの「崇徳院の死と俊成、西行」という発表です。野本さんは島根からの参加、全国から40名の参加申し込みがあったとのこと。ともかく研究会の場には入ったのですが、発表が始まったらカメラを消して下さいと言われたので、ビデオのアイコンをクリックした途端に、zoomの空画面が覆い被さり、えっ、どうなったの?!しかし音声が聞こえればいいや、と発表を聞いている内に思いついて、画面を縮めてみたら、隠れていた研究会会場が現れました。

保元の乱に敗れて讃岐で亡くなった崇徳院の遺詠(長歌反歌1首)が俊成に届けられた後、俊成、寂然、西行がどのような行動を取ったか、それは何故かについて考察する発表でした(ブラッシュアップした発表を10月25日の中世文学会で聞くことができます)。『無常の鐘声』(花鳥社)に「九条兼実崇徳院・高倉院・安徳天皇」を執筆した谷知子さんも参加、当時の社会状況との関係など異なる視点からの議論も行われました。

討論終了後の雑談が有益でした。全国の大学の状況、殊にコロナ下での話題がやりとりされました。東大は後期も遠隔授業、国文は演習もオンラインだそうで、書誌学の実習1日のみ対面授業だった由(今年サバティカルだった年配の教授が、zoomに不慣れなことを露呈しながら司会をしたのがご愛敬でした)。留学生が来日できないこと、書道がウリだった大学では実習授業に困ったこと、TVゲーム規制条例を作った県では、30分ごとにオンラインが切れてしまう(県がそう設定している)のでやりにくかったこと、他県へ出てはいけないと言われている県もあること、すでに入試をオンラインで実施した大学院もあること。みんな試行錯誤の毎日です。