風のガーデン

川越花便り・軽井沢篇が来ました。軽井沢レイクガーデンへ、薔薇を追っかけて行ったそうです(それゆえ当分、○○新書も××新書も出ません)。

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軽井沢のラビリンス・ローズガーデン

忙しく働いている間に、あちこちにテーマパーク風の回遊式庭園ができたのですね。庭師とか植木屋ではなく、ガーデンプランナー等の片仮名名前の新しい職業ができ、洋風庭園にも仏蘭西式、英国式などの相違があることが知られるようになって、従来とは違った楽しみ方が一般化したようです。

2008年に「風のガーデン」というTVドラマが放映されました。中井貴一緒形拳の演技が圧巻でしたが、ドラマの重要な鍵となる庭園は、撮影のためにわざわざ造られ、後にホテルが引き取って、観光名所になっているそうです。風にそよぐ姿のいい植物を選んで混植したそうで、いちど行ってみたい所です。

緒形拳は、これが遺作になりました。彼は高校の先輩で、男女共学の新制高校になって以降、停学処分の第1号(喫煙)だったらしい。開校記念日の朝礼で、校長が有名人の出身者を数え上げる際、生徒の私たちはひそかに期待して待っているのですが、決して彼の名は呼ばれませんでした。在学中は、最後列の席で、授業をまったく聴かずに自分の演技ノートを書いていたそうです。卒業時の学芸会で、「王将」の主人公を演じ、その名演技は教師たちの間で伝説になっていました。新国劇に入り、稽古の時間が惜しいからと近所の家のガレージに勝手に寝泊まりしていた、という伝説もあります。

彼の名演の舞台や映画はほかにもあったのですが、静まりかえった家の中で風がカーテンを動かし、庭園の花の穂先が揺れる場面が、あの深い皺に刻まれた表情と共に、今も印象に残っています。