誰もがよく知る武蔵坊弁慶は、意外にも『平家物語』にはほとんど登場しません。その生涯は『義経記』や御伽草子『弁慶物語』に詳しく記されています。熊野別当の子として、超人的な能力を持って生まれた鬼若(弁慶の幼名)は、比叡山に預けられました。しかし、乱暴者であるが故に、半ば追われるように比叡山をあとにします。
【書写山圓教寺】
修行の旅に出た弁慶は、播磨国の書写山に立ち寄り、そこで真面目に修行を続けていました。
【弁慶の鏡井戸】
ある時、信濃坊という僧が、睡眠中の弁慶の顔に落書きをします。弁慶は自分の顔を水に映してそのことを知り、怒って信濃坊と争います。この時、弁慶がクヌギの燃えさしを講堂の屋根に放り投げたため、寺が全焼してしまったと『義経記』は語ります。
【弁慶のお手玉石】
書写山圓教寺は、映画『ラストサムライ』のロケ地としても知られています。境内には、強力の弁慶がお手玉にしたというお手玉石もあります。
〈交通〉
JR山陽本線姫路駅よりバス
(伊藤悦子)