梨の話

台風で鳥取二十世紀梨のできばえを心配しましたが、まずまずの出来だったようです。毎年この季節に二十世紀を送ってくれる昔の教え子から、今年は「新甘泉」という品種が届きました。巨大な(huge)赤梨です。1個で5~600gはある。梨は切るとすぐ色が変わるので、昼食代わりにまる1個食べることにしました。水分たっぷり、と言うより剥くそばから掌に水が零れる、溢れる。熱中症予防はこれ1個で半日持ちそうです。

近年の関東は赤梨(梨には青梨と赤梨の2種類がある)が主流で、果肉の歯ざわりが粗く、我が家では「歯磨き」と称して敬遠していたのですが、これは口中で殆ど溶け、滓が残りません。糖度も高い。調べると、平塚の筑水という赤梨と、鳥取のおさ二十世紀という青梨を掛け合わせ、平成20年に鳥取オリジナルとしてできた新品種だそうです。一つ気に入らないのはネーミング。山陰新幹線待望の時期に開発されたのでつけた名でしょうが、「甘泉」という名は確かに当たっているのに、駄洒落がいかにもダサい。画竜点睛を欠く、とはこのことです。

最近は鳥取でもあまり二十世紀を作らなくなったようで、二十一世紀という新品種は人気が出ず、大玉の赤梨系が増えたようです。調べると、おさ二十世紀という品種は自家受粉が可能らしく、農家の手間が省けるのでしょう。青梨のあの色は初秋に相応しくて、未だ赤みの斑らな早生林檎と共に季節の変わり目を知らせてくれます。猛暑は続いていても、夕陽にはふと「心弱り」を感じ、朝夕の風に交じる冷気が僅かに増えました。

季節のないコンビニにも、パックジュースに季節限定品があって、「大分の日田梨」入りが出ています。梨は100%果汁にはできないのだそうで、どの程度風味があるか、今度買ってみるかな。今朝の豊後便りは、孫のお守りでラクテンチへ行った話だったし。