軍記・語り物研究会

久しぶりで軍記・語り物研究会に出ました。発表は藤田加世子さんの「『平家物語』の物語系図について―宮内庁書陵部蔵『平家物語系図』と『平家花揃』―」、小助川元太さんの「儀式の道具としての軍書」の2本です。参加者もけっこう多く、多士済々の感がありました。

藤田さんの発表は、物語系図の方に比重がかかっている、もしくは「花揃」を系図と結びつけることにやや性急なように見受けました。「花揃」自体に、未だ未だ探求すべきことがあると思います。40年ほど前、日本文学を縦に貫いて(宇津保物語から坪田譲治まで)、人物を花に譬える作品を眺めようとしたことがあり、京都の短大で1年間講義したこともありました。もはや講義ノートをもとに原稿化する根気はありませんが、花づくしの系譜を『平家花揃』や遊女評判記を題材に論じるのは面白かったなあと、今さらのように思いました。

小助川さんの報告は、大名文化の一端を宇和島伊達家文書を使って覗かせてくれました。若い頃、国文学研究資料館の文献調査員を仰せつかった際の体験(旧藩の文物を調査した)や、このところ親の遺品の整理をしたり(愛蔵品の目録を作った)、美術館で室礼の展示を観たりする経験と絡んで、興味深く聴くことができました。

この研究会も歴史が古くなって、いろいろ問題も出て来ているようですが、昨日の雰囲気ならば風穴を開けていくことはできるかもしれない、と思いました。少なくとも、闊達に学問の話ができる場にしておきたいと思います。この日はマンションの管理組合総会、JRの切符購入など、人に疲れて、帰宅後すぐ寝てしまいました。(4月23日)