研究発表会

母校の国文学会で院生の研究発表を聴きました。石井悠加さんの「鳥羽殿の和歌」は、和歌の催しが行われる場としての鳥羽殿の変遷をたどり、権力者の栄華と失脚に繰り返し関わった広大な人工空間に、和歌がもたらした意味の大きさを考えようとしたもので、シンプルに作られたレジュメが見やすく、聞きやすい発表でした。2本目の『西鶴名残の友』巻三第七話の類話を博捜した発表は、レジュメに目次(発表意図と構成)をつけておいた方が、聴衆にも分かりやすく、発表者自身もまとめやすかったのではないかと思いました。

鳥羽殿は海上交通路にも近く、自由な上皇の身分であれば、都内の御所にいる時とは異なった人や文物との交流もあったのではないかと思われます。和歌に限定せず、この空間に行き交った文化を描き出していくと面白いかも、と思いました。

正門の近くの四阿の藤棚は今が満開でした。かつては四阿は2つ並んでいたと思いますが、いつの間にかここだけになってしまいました。70年以上は経った藤です。なかなか花の盛りに遇うことができず、足下に散らばった落花を見ることが多いのですが、今日はつくづくと眺めて帰りました。