福井高専の大谷貞德さんから、津の石水博物館へ行ってきた、とメールが来ました。
伊勢の豪商川喜多半泥子が建てた博物館です。伊勢の豪商と国学者たちの間で長門本平家物語が貸借、書写、校訂されていたらしいことがだんだん分かってきました。この博物館のことは、近世文学の塩村耕さんから教えて貰ったのですが、私は未だ行ったことがありません。半泥子は経済人として活躍する傍ら、多趣味な文化人でもあり、私は陶器作家として知っていたものの、その先祖の活動については全く知りませんでした。
【道中にあった丸山稲荷神社にたちより、参拝してきました。お賽銭を投げ入れ手を合わせましたところ、太鼓の音が鳴り、なにやら稲荷様が応えてくれたように感じました(実際は、神主のお気遣いだったのでしょうが)。】
多分、賽銭箱にセンサーが仕掛けてあって反応するようになっているのだと思いますが、この「有難い」という気持ちが大事。
阿漕浦にも行ってみたかったが、無人駅で、駅から海までかなりの距離があることが分かって諦めた、とのことでした。
福井に赴任して5ヶ月、大谷さんの話では、関東育ちの人間はつい、北陸は僻地というイメージで見がちだったが、立地的にはとてもいい所、伊勢へも京都へも、そして新幹線ができてからは東京へも簡単に行けるし、文化都市金沢も近い、というのです。北陸新幹線は大阪へ延ばすか米原経由にするか、それによって工事費が大きく違うそうで、どっちが便利かと訊いたら、北陸からはどちらでも大して変わらない、とのことでした。地元では、福井がどんどん発展しつつあるのに、古い町鯖江は次第にさびれつつあるそうです。
伊勢の長門本平家物語調査の成果は、『長門本平家物語の新研究』(花鳥社 10月5日刊行予定)の、その次の本になるでしょう。