平家正節250年

名古屋の平曲保存事業を主宰している月見ケ岡文芸舎からお知らせが来ました。安永5(1776)年に荻野検校が平曲譜本の『平家正節(へいけまぶし)』を編纂してから250年経つので、今年から3年間(2026まで)、記念行事を開催するという案内です。記念誌出版、館山甲午平曲演奏のCD化などと共に、今年から3年かけて、名古屋・東京・仙台で「三都連携巻通し平曲鑑賞会」を行う予定だとあります。

巻通しって何だ、一部平家(通常平曲は句という単位(章段)で語られるが、物語の順番通りに全句を語る催し)とは違うのか、と企画をよくよく見ると、どうやら平家物語12巻ごとに、正節の巻頭に置かれている句を摘出して語るらしい(正節は物語通りに句を配列せず、語る難易度によってグループ分けして並べています)。

今年の10月20日には上野の東京芸大構内の奏楽堂で、「桜の中音」と呼ばれる、短い祝言の句を皮切りに、「鱸」「卒塔婆流」「無紋沙汰」「厳島還御」の4句が語られる予定だそうです。来年は仙台で平家物語巻5から8まで、令和8年秋には名古屋で琵琶の展示会と共に巻9から灌頂巻までを、それぞれ複数の演奏者が語るらしい。壮大な企画で度肝を抜かれました。知らない演奏者の名もあって、盲僧が口移しに受け継ぐ平家はもう絶えると言われながらも、こうして譜本での承継は粛々と行われていたことを知って、感激しました。別に開幕行事、閉幕行事もあって、開幕行事は以下の通りです。

5月18日(土)13:30から 名古屋市昭和区八事山興正寺にて

14:15 平曲奉納(荒井今日子「桜の中音」・鈴木孝庸祇園精舎」)

15:10 対談「平家正節の250年」(尾崎正忠・林和利)

お問い合わせ先:052-831-6414 月見ケ岡文芸舎