阿波国便り・茱萸争奪篇

徳島の原水民樹さんから、写メールが来ました。

なけなしの茱萸

【実家にあったのが懐かしくて、グミを植えましたがさっぱり実がつきません。そこで今年は着果ホルモンを散布したところ、50個ほども実をつけました。楽しみにしていたのですが、熟し始めると無くなってしまいます。どうやら鳥が食べているようです。少しはお裾分けしても良いのですが、敵は容赦なく、根こそぎ食べてしまい、こちらには一口も入りません。写真のような色づき程度では渋くて食べられません。イチゴも又然りで、ほとんどナメクジにやられ、2、3粒も口に入れば良い方です。】

自然と共存、とは人間が負けることを前提に考えた方がよさそうです。あちらは遠慮は要らないのだから。野鳥対策は網を掛ける手もありますが、蛞蝓は目に見えないほど小さい幼虫でも、夜間にしっかり食べて昼間は隠れるので、勝てません。

木曽の茱萸

これは去年、信濃路に木曽義仲の跡を訪ねた時、兼遠館跡に茂っていた茱萸の藪です。小さな朱い実が生っていて、地元のガイドさんは、子供の頃お八つ代わりに採って食べた、と話していました。1粒食べてみましたが、しぶ~い。そう、私も子供の頃、浜辺の松林の下生えによく茱萸の藪を見つけましたが、実は渋かった。原水家のような茱萸は栽培品種で、発売された当時は「びっくり茱萸」という名前でした。

赤い実というのは今も昔も、狩猟本能(採取本能?)を刺激します。鳥も同じ。鳥の目は赤い色に反応するようにできていると聞いたことがあります。勝てないでしょうね。

以前、鉢植えの茱萸にびっしり実がついているのが綺麗だったので衝動買いし、実を試食したらとんでもなく渋い。砂糖をたっぷり投げ込んで焼酎漬にし、人にも分けましたが、翌年は全く実がつきませんでした。