奉納平家

平家物語の研究者でもあり、前田流平曲の演奏家でもある鈴木孝庸さんと、今度の新興古書大即売展に出陳されている、『平家正節』(福地桜痴旧蔵か)について、メールでやりとりしました。最近、『正節』のまとまった写本が市場に出ることが数回あり、殊に今回のものは、「福地氏蔵書」の印記がある(一部に那須家旧蔵の印も)とのことで、購入資金がないのは残念、というやりとりです。

鈴木さんは11月末に名古屋の熱田神宮で、奉納演奏をしてきたそうで、地元の応援もあり、マスコミにも取り上げられたとのことでした。

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20201127熱田神宮

熱田神宮ゆかりの「大臣流罪」と、大秘事「剣」とを語ったらしい。朝日新聞にも(中日にも)記事が載ったそうです(名古屋城の石垣の話ではなく、その下の記事)。

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神前で語る鈴木孝庸さん

率直に言って習い始めの頃は、よく臆面もなく人前で語るなあ、と思ったものでしたが、今では声域も広がり、風貌も法師らしくなって、それなりに語りとして聴けるようになりました。名古屋に伝わる、当道座由来の検校の語りとは別に、津軽に伝わった、『正節』で学ぶ平曲です。今となっては貴重な伝承者となりました。

なお福地本『正節』を出陳しているのは丘山堂書店(電話03-6915-8494)、大即売展は12月11,12日に東京古書会館で開催予定です。