四季の庭

雨が上がったので街へ買物に出ました。春日通りの公孫樹並木はこの数日にすっかり黄葉して、足元は一面黄金の絨毯でした。公孫樹の葉は油を含んでいるので滑りやすく、都電があった頃は落葉の季節になると、都交通局の職員が2人がかりで、本郷通りの軌道を竹箒で掃いていたものです。用心しいしいスーパーまで歩くと、もう鏡餅が並んでいます。今年は秋が遅かったので、例年なら賀状が刷り上がっている時期なのに、その気になりません。いよいよ年末になって慌てることになりそうです。

我が家では、夏の花、秋の花、そして冬の間咲かせようと買い集めた早春の花苗が同居し、まるで室町物語が好む「四季の庭」さながらです。切り戻した日々草ペチュニア、千日紅が咲き続け、コリウスの紅葉が濃くなり、パプリカは実をもたげ、薔薇はふっくらと真紅の花を開き、葉枯れを心配した黄菊がのたうちながら咲いています。西日に輝く黄金の菊は、例年なら文化の日の頃の情景ですから、1ヶ月遅れの晩秋です。

春先、ついでに買ってきたバジルは、数日ごとに葉を摘み、トマトサラダやスープにトッピングして重宝しました。よその庭では大きな株になって、白い花を咲かせていましたが、我が家ではヨーグルトのカップに植え、絶えず葉を摘んだので盆栽程度にしか大きくなりませんでした。軽く触れただけでも甘い香りが暫く空中に漂う。キッチンプランターに向いているかもしれません。さすがに疲れ果てたらしく、枯れました。

川越の友人から送られたニゲラの種子を播いておいたら、双葉が出て、本葉も見え始めたので、このまま冬越しさせていいかと問い合わせたところ、彼の庭では間引きして冬を越すとのこと。弱虫の私は間引きや剪定が苦手。種子もそれを知っていたのか、ヨーグルトカップ1個に8粒ずつくらい播いたのに、1本ずつしか発芽しませんでした。