信濃便り・晩秋篇

長野の友人から、写メールが来ました。日曜日に城跡で行われた鷹狩りの実演を撮ったとのことです。

松代城の放鷹

松代藩ではかつて鷹狩りが行われていて、長野県立大学二本松泰子さんがその歴史に詳しく、日本の放鷹術の復活と普及に尽力しています。鷹に類する猛禽を飼い馴らして狩猟に使ったり、権力の象徴として保護育成したりしたことは、日本に限らず世界的なことで、中央アジアなどでも行われていました。ダライ・ラマの家庭教師を務めた登山家を主人公にした映画「チベットの7日間」にも、そういう場面がありましたね。

人力車

象山神社の脇を行く観光用の人力車だそうです。七五三詣も終わり、紅葉も盛りを過ぎ、閑散としています。長野はもう、最低気温が零度を下回る日もあるようで、これから冬支度が始まるのでしょう。堀の水が、晩秋もいよいよ終わる季節を映しています。

東京は猛暑が長引いたため紅葉が遅れ、発色はあまりよくありませんが、山茶花が咲き、あちこちに赤い実が覗き、鳥たちが燥いでいます。我が家のベランダでも、心配した菊がそれなりに花を咲かせ始め、昼前には毎日、小虻が羽音を立ててやってきます。冬の来る前の、つかの間の平和な日々。

しかし真冬並みの寒い日と、小春日和以上に温かい晴天とがめまぐるしく入れ替わり、服装や夜着の選択に迷います。世界各地で海亀や鰯が、海水温の変化についていけずに浜に打ち上げられる現象が起きているとか。植物たちが必死に季節を建て直し、動物たちもそれに従いていこうとしている、この年末。来るべき年が順調な1年になりますように。

[追記]:長野の友人からは以下のような追伸が来ました。【27日の信濃毎日新聞、今朝の市民新聞にも鷹狩りの記事が写真入りで掲載されました。コロナ禍後初めての開催で、県立大学の二本松ゼミの学生さんたちが運営や進行を担当したようです。】