信濃便り・直木賞作家篇

用があって長野の友人にメールしたら、いま今村翔吾の講演会場に来ている、との返信が来ました。台風接近で不要不急の外出は控えろ、と気象庁が言っていた昼です。

今村翔吾の自家用車

【今年は真田信之松代入部400年に当たり、この講演会は「今村翔吾のまつり旅 47都道府県をまわりきるまで帰りません」と銘打ったイベントのひとつでした。今春に始まり、最後から2番目が長野県、9月24日に山形県新庄市でゴールとなるそうです。直木賞受賞後の第1作として『幸村を討て』を刊行(2022年3月)。ワゴン車の内部を改造したので車内でも執筆でき、出発以来、一度も帰宅していない由。会場の玄関口に停められたワゴンの車体には、メッセージがいっぱい書き込まれていました。

当地では元気いっぱい、近江弁?で、真田信之への熱い思いを語り、集まった100人の聴衆は大喜び。3週間後に開かれる4年ぶりの真田まつりへの格好のエールとなりました。講演後、風のように立ち去っていきましたが、午後には地元テレビ局のスタジオに姿を見せ、エネルギーの塊のよう。38歳の作家とは思えないほど、身のこなしが軽快でした。

じつは未だ作品は読んだことがありません。会場では長野の書店が出張販売。『幸村を討て』や受賞作『塞王の楯」などが飛ぶように売れていました。中学生の頃は放課後によくお城に遊びに行き、低い方の石垣を登ったので、石を積む職人が主人公の『塞王の楯』を購入したかったのですが、つい『幸村を討て』に手が伸びてしまいました。】

ウェブで調べたら、「家業のダンストレーナーを継ぎ、書店も経営」しているという。今どきダンストレーナーは「家業」なんだ、と驚きました。身が軽いわけです。

女子中学生もよじ登る城壁がある故郷って、いいですね。冬には、常山邸庭園の池で氷滑りをして、管理人に叱られた話もしていましたっけ。