大学院生の論文作成や学部生のレポートでも、最近は英語で書く必要が多くなったと思います。そういう訓練を受ける機会があった人は平気の平左でしょうが、中高の授業だけで英語を学んできた人には、なかなか気の重いことでしょう。最近、友人が若い人の為に書いたメモを見せて貰ったら、分かりやすく、有益な手引きになっており、日本語で文章を書く際の注意事項とも共通するので、転載させて貰うことにしました(友人はアメリカ文学専攻で、英語能力検定試験の口頭試問にも永年携わってきた人です)。
【1 いきなり直訳しない。まず、和文和訳して(英文らしい言い回しにする)→ その後、英訳する。
*和文和訳する際には、日本語と英語の表現方法の違いに注目する(日ごろから英文を読む時に気に掛けておく)。例えば主語の選び方、述語動詞の選び方、態(能動態か受動態か)の選択など。究極の理想は、英語で考え、英文で書くようになること。英文と和文では発想の相違もある。
2 長い日本文は短文に分けてから、英訳する。1文では1つのことだけを言う。
*関係代名詞や付属節を多用した文章はわかりにくい。
3 論文の語彙には日常会話の語彙とは異なる、論文独特の語彙がある。
*TOEFL受験用の参考書を参考にするのもよい。
*native speaker of Englishが執筆した、関連分野の英文の論文を多数読み、論文独特の語彙を増やしておく。説得や証明/立証に向いた語彙、客観的な表現、formalな表現を日ごろから蓄積する。
4 英語論文の構成やパターンを知っておく。
*例えば、段落の機能、段落の構成(最初にtopic sentenceを置き、それからsupporting sentences → concluding sentenceへと移行するのがよい)に沿って叙述する。
参考書:小熊英二『基礎からわかる論文の書き方』(講談社現代新書 2022)
*ウェブで academic writing in English というキーワードで検索すると役に立つ情報が得られる。】